「英彦山がらがら」は約800年もの歴史を持つと云われる日本最古の土鈴で、干ばつが続いた際、恵みの雨をもたらせた英彦山にお礼の鈴を文武天皇が奉納したことが由来と記されている。地元では家の玄関や勝手口などに吊るされたり、魔除けの鈴として飾られたりします。素焼きならではの素朴な音色が特徴で、手間暇かけた職人技で手際よく作る工程は、まるでパティシエのお菓子作りを見ているようで魅力的。「がらがらは代々続いていかなならん品物ですからね。これ自体を変えてしまうのは困るけれど、デザイン的に新しくしていくことは私も楽しみにしてるんです」と、篠崎さん。伝統を守り続ける英彦山がらがらは、今の時代にマッチングした形に進化しつつ、若い世代にも受け入れられ始めている。
朱色は太陽、青色は水を表します
すべて篠崎さんの手で作られています
様々な色や形があるので集めたくなります
英彦山の麓「津野」で生まれ育った原田さんは実家のお米を原料に「おこし」を作っている。自分の味覚だけを信じてこだわりの味を表現することからのスタートで、スタッフが一緒に頑張ってきてくれたお陰で今も続けられているという。今や「おこし」は町の事業をきっかけに地元の道の駅だけでなく福岡市内や関東でも販売されている人気商品。「たくさんの人に食べていただくことで、最終的に添田町や津野のお米のことを知ってもらえたら、やった甲斐があったかなと思いますね」と原田さん。生産者としての安心安全を守りながら、懐かしくも美味しい商品にこだわることで町内外の人の心をひとつひとつきちんと紡いでいく。
原田さんのご両親
ご実家で育てられるお米が原料となります
人気商品の塩キャラメルおこし
添田町以外の店舗でも販売中です
「最初は何もわからない中やっていた」と都会生活を辞めて、実家の家業を継いだ当初を振り返る星野さん。農業の過酷さや奥深さ、林檎作りは、どんなに研究してもなかなか自分の思い通りにならない。自然が相手なだけに自分の無力さを痛感させられる日々。そんな中、他地域の林檎農家さんからのアドバイスで自分の立ち位置に気づく。「毎年楽しみに買いに来てくれるお客様の気持ちは裏切れないから、まずは質の良い林檎を一生懸命作って喜んでいただくことが全て。それから次の6次化へと繋げていければ」そのストレートな言葉には、林檎作りやお客様に対する誠実さが伝わってくる。熱い想いをもって、英彦山で究極の林檎を作り上げていく。
英彦山林檎舎
HIKOSUGI/RINGO HOUSE
りんごのドライフルーツ DRY APPLE
星野さんの林檎園では10種類以上の林檎が育てられています
平田さんご夫婦のこんにゃくは、全ての工程を手作業で手間暇かけて驚くほど丁寧に作られる。薪にこだわった昔ながらの窯で一気に炊き上げ、こんにゃくに気泡が入って膨らむことで、調理した際にしっかりと味が染みやすくなる。英彦山の水の良さと天然素材にこだわり、熱の入れ方次第でいろいろな食感や風味がでる。味の良さがもっと伝わるようにデザインも新しくした。「デザインにこだわるようになって、お客様にさらに手にとってもらえる商品になった」と、ちょっとした工夫で商品の認知度が変わったと話す奥さま。昔ながらの伝統的な作り方にこだわり、現代人の食生活にマッチするために日々新しい商品開発を続けている。
最初から最後まで、平田さんご夫妻の手作業でつくられます
窯で炊き上げることで気泡を多く含んだこんにゃくへ仕上がります
手造りの窯に大きな鉄鍋を据えて、薪で湯を沸かしています
みずみずしい刺身こんにゃく。生芋・一味・青のり・ゆずの味があります
「添田町で採れる野菜を使って、私たちができるものを作ってみようというところから始まりました」そう話すのは「いなかdeキッチン」の本居さん。添田で採れる新鮮な柚子や玉ねぎ、トマトをまるごと1個分、贅沢に使用した「野菜が美味くなるドレッシング」2種類と「お肉が美味くなるドレッシング」を開発。すべての工程を手作業でしっかりと手間暇かけ、野菜や肉などの素材そのものをさらに美味く引き立てる添田ならではのもてなしのドレッシングだ。本居さんのこだわりに共感してくれるリピーターが徐々に増え「今後は道の駅以外にも販売店舗を増やして商品を長続きさせたい」と目標を語った。
添田町の野菜を使って3種類のドレッシングをつくりました
ソエダトマトソース
ソエダオニオンソース
ソエダゆずソース
渡壁さんの作る柚こしょうは、山里に点在する天然の青柚子をゆっくりと石臼のローラーで挽き、竹ひごを使って少しずつ練り合わせて作られる秘伝のオリジナルな製造方法。商品の中でも「柚こしょう サパンヌ」は代々つづく秘伝の柚こしょうをベースに香りを引き立て、減塩で作った渡壁さんオリジナルのこだわりの自信作。柚こしょうなのに、食べだしたら止まらないほど絶品。サパンヌの食べ方や魅せ方を添田町の人と一緒に考えていくなかで、新しい刺激を受けたと話す渡壁さん。「柚こしょうを作っている人って全国でも意外と少ないよね。その中でも5本の指に入ると思えるものを作りたい」とどこまでも柚こしょうに対する想いは貪欲だ。
柚こしょう サパンヌは渡壁さんの自信作です
農園で育てている柚を使用します
サパンヌのパッケージはリニューアルしました
英彦山の麓で、約100年以上も原木椎茸にこだわり続ける藤川椎茸園。山を育てながら自然のままを生かし、20年かけて良質のクヌギを育てることから始まる。クヌギを原木として切り出し、種菌を打ち込んで育てる天然の産物だ。この土地の温度、湿度や太陽の日差しを浴びて育つ原木椎茸は、しっかり肉厚で旨味と風味豊かな椎茸に育っていく。「原木椎茸って農薬なんて一切使わないし、菌以外は全部天然素材なんですよ」そう教えてくれたのは、家業を継ぐために帰郷した5代目の徹さん。「お客様に椎茸屋の作る安全な椎茸を美味しく手軽に食べていただけるよう、次の時代に向けてこの地で6次化にも力を注いでいきたい」と心強い。
こだわりの原木椎茸の商品です
原木椎茸づくりはクヌギの木を育てるところからスタートします
木に種菌を打ち込む駒打ちの作業です
原木椎茸ペースト LOGS
森山さんが自家菜園でご主人と二人三脚で作る柚子も青こしょう(青唐辛子)も、農薬や除草剤が一切使われていない。昔は農業をやっていけるか不安に思うこともあったそうで、初代の十四子さんと二代目サカエさんから受け継いで、淑子さんなりのやり方で模索してきたのだという。森山さんの思い入れの強い無着色のゆずこしょうについてお聞きすると「真面目にきっちり作ったら、これだ!って発見したんです」青柚子に青こしょうと食塩を加えて森山家独自の製法で作られるゆずこしょうは、上品な柚子の香りが絶品。次の世代に引き継いでいくのは大変だが、添田町から遠く離れた土地でゆずこしょうを楽しみに待っていてくれる人々の存在が森山さんの心の支えとなっている。
畑は森山さんとご主人のお二人で手入れされています
農薬や除草剤を一切使用せずにつくられています
こだわりを持ってつくりあげた柚子・唐辛子製品です